2022年7月10日に参議院選挙がありました。
皆さまは選挙には行きましたか?
今回の参議院選挙では理学療法士2名、作業療法士1名が立候補していました。
国会議員に理学療法士がいることで、理学療法士にどんなメリットがあるのでしょうか?
また、立候補していた人はどんな人だったのかを、参議院選の結果と併せてご紹介致します。
なぜ理学療法士の国会議員が必要か
理学療法士を取り巻く環境は、年々厳しくなってきていると考えられます。
それは、理学療法士が増えて需要と供給のバランスが崩れているという点もあります。
しかし最も大きな問題は、膨れ上がる社会保障費に対し、理学療法士の仕事に関わる診療報酬が徐々に削減されてしまっているという点です。
日本の社会保障費は年々増大しており、それに対し政府は何とかその費用を抑えようと様々な方針を立てています。
医療にかかわる費用をなるべく抑えようとすると、直接生命にかかわるものに費用をかけ、そうでないものについては費用をかけなくなると考えられます。
理学療法士の仕事は、医師や看護師等の仕事と比較すると、直接生命にかかわるものではないと考えられます。
そのため、理学療法士の仕事に関わる診療報酬は、様々な面で徐々に削減されつつあります。
診療報酬が下がるということは、理学療法士が頂く給料も必然的に下がるということになります。
理学療法士の国会議員がいることで、法の作成に携わることができるため、この診療報酬削減の流れに歯止めをかけることができるということが期待できます。
そして、実際に参議院でこれまで国会議員になっていた理学療法士がいました。
参議院選に立候補していた理学療法士|小川かつみ
今回参議院選に立候補していた理学療法士は2名いますが、理学療法士連盟の組織内候補となったのは小川かつみ氏です。
小川かつみ氏は前回参議院選にて自民党から立候補し、比例区枠で初当選しました。
在職中に理学療法士の雇用を守るための活動や、賃金の引き上げを図るなどの多くの面で活躍をしていたようです。
そのような活躍を評価され、今回も理学療法士連盟の組織内候補となったものと考えられます。
では、今回の参議院ではどのような結果になったのでしょうか?
参議院選の結果
結果的に小川かつみ氏は落選しました。
またほかに立候補していた理学療法士、作業療法士も落選してしまいました。
小川かつみ氏は118,246票で、自民党比例19位でした。
自民党の比例獲得議席は18で、18位の候補者の得票数は118,701票でした。
そのため、あと456票あれば当選という非常に惜しい結果となりました。
前回の参議院選では小川かつみ氏は130,101票獲得しているので、前回より得票数を落としているというのも、敗因となったと考えられます。
前回の参議院選は6年前なので、その間に理学療法士の人数は確実に増えているものと考えられます。
実際に、今回理学療法士全員が投票したら、どのような結果になったのでしょうか?
理学療法士の人数|何票獲得できたか?
令和4年度の国家試験の結果より、理学療法士の国家試験合格総数は202,423人となっています。
この内の全員が現在理学療法士をしているということはないと思います。
しかし、例えば理学療法士の国家資格を有している内の6割が投票したとしても、121,453票獲得できることになります。
今回の参議院選では自民党比例獲得議席は18で、18位が118,701票でした。
そのため、理学療法士有資格者の6割が小川かつみに投票していれば、小川かつみは当選していたことになります。
この結果の原因はいろいろと考えることはできます。
- 理学療法士が政治に対して無関心
- 理学療法士が小川かつみ、理学療法士連盟へ不信感がある
- 候補者が3名いたため、票が分散してしまった
いずれにしても、今回の結果により、理学療法士の資格を有した国会議員はいなくなってしまいました。
それでは、今回の結果を踏まえたうえで、理学療法士の今後について考えてみたいと思います。
理学療法士の今後
結論から申し上げますと、かなり厳しくなるだろうと考えています。
今現在においても、理学療法士の有資格者が増え需給バランスが崩れている状態にあります。
今後、医療費の増大に対して、リハビリテーションに関わる予算の削減は避けられないと考えています。
そのためにも、次回行われる選挙では、必ず理学療法士の資格を持った国会議員を輩出してくれることを期待したいと思います。
まとめ
ここまで、2022年の参議院選挙で立候補した理学療法士の当落と、今後について記載しました。
- 理学療法士連盟の組織内候補だった小川かつみ氏は落選した
- 理学療法士有資格者の6割が投票していれば当選していた
- これにより、理学療法士の取り巻く環境はさらに厳しくなると予想される
今回の件を受けて、わたし自身ももっと能動的に情報発信しなくてはならないと考え、記事を書きました。
理学療法士を目指す方を含め、現在理学療法士と仕事をされている方の参考になれば幸いです。